テスラが発表したサイバートラック、そのあまりにも未来的なデザインを見て「サイバートラックはダサい」と感じた方も多いのではないでしょうか。この車に関する情報は非常に多く、その評価は賛否両論に分かれています。発表会でガラスが割れたのはなぜなのか、という衝撃的な出来事から始まり、その内装や防弾も可能なほどの性能、そして一体何がすごいのかという点に注目が集まりました。
しかし、その一方で気になるのは、実際の売れ行きや具体的な価格、そして海外の反応です。また、多くの欠点が指摘され、リコールされた理由や、そもそも日本には何台あるのか、なぜ日本で走れない理由があるのか、あるいは日本での販売中止の噂など、ネガティブな情報も少なくありません。
この記事では、サイバートラックがなぜ「ダサい」と評されるのか、その背景にあるデザイン哲学から具体的な性能、市場での評価、そして日本で直面している課題まで、あらゆる角度から徹底的に解説していきます。
- サイバートラックが「ダサい」と言われるデザイン上の理由
- 性能や価格、安全性に関する具体的な事実
- 海外での評価と実際の売れ行き
- 日本の規制や市場で直面する課題
なぜサイバートラックは「ダサい」と言われるのか?
- ①海外の反応に見る斬新すぎるデザイン
- ②ガラスが割れたのはなぜですか?という疑問
- ③賛否両論を呼ぶサイバートラックの内装
- ④防弾などサイバートラックは何がすごいのか
- ⑤見た目だけではないサイバートラックの欠点
①海外の反応に見る斬新すぎるデザイン
サイバートラックのデザインが「ダサい」と評される背景には、そのあまりにも型破りな外観に対する世界的な戸惑いがあります。この車が2019年に発表された直後から、海外の反応は称賛と酷評に真っ二つに分かれました。
多くの人々が指摘するのは、まるでCGの初期段階のような、平面的な板で構成された「ローポリゴン」と形容される角張ったシルエットです。現代の自動車デザインが追求してきた流麗な曲線とは正反対のこの造形は、「子供が描いた未来の車」や「70年代のコンセプトカーのようだ」といった、どこか古めかしくチープな印象を与えるという意見が見られます。
一方で、この大胆なデザインを「未来的でユニーク」「これまでにない存在感」と高く評価する声も存在します。しかし、特に伝統的なピックアップトラックに慣れ親しんだ層からは、その無機質で冷たいステンレススチールの素材感も相まって、強い拒否反応が示されました。このように、サイバートラックのデザインは、万人受けする美しさではなく、見る人を選ぶ非常にニッチな魅力を狙った結果、広範な層から「ダサい」という評価を受けることになったと考えられます。
②ガラスが割れたのはなぜですか?という疑問
サイバートラックの評価を語る上で欠かせないのが、発表会での「アーマーガラス(装甲ガラス)」のデモンストレーション失敗です。この出来事は、多くの人々に「ガラスが割れたのはなぜですか?」という素朴な疑問と、製品に対する不信感を植え付けました。
このデモンストレーションの目的は、ガラスの強度を証明することにありました。しかし、テスラのチーフデザイナーが投げた金属製のボールによって、2枚の窓ガラスにはっきりとヒビが入ってしまったのです。イーロン・マスク氏はこの予期せぬ事態に苦笑いを浮かべるしかありませんでした。
後日、マスク氏が語った理由によれば、ガラス自体の強度に問題があったわけではないようです。デモの直前に、ボディパネルの強度を示すためにドアをハンマーで叩く実演を行っていました。その衝撃がガラスの根元に伝わり、ガラス内部に微細な亀裂を生じさせていたため、金属球の衝撃に耐えきれなかった、と説明されています。
ただ、この説明が事実であったとしても、プレゼンテーションの段取りの悪さや詰めの甘さが露呈した形です。この一件はインターネット上で瞬く間に拡散され、サイバートラックの「未来的で頑丈」というイメージを損ない、「見かけ倒しでダサい」というネガティブな評判を補強する象徴的な出来事となってしまいました。
③賛否両論を呼ぶサイバートラックの内装
サイバートラックの物議を醸す特徴は、外観だけに留まりません。その内装もまた、評価が大きく分かれる要因となっています。テスラ車に共通するミニマリズム(最小限主義)を極限まで推し進めたインテリアは、一部からは先進的と評価される一方で、多くの人々には「殺風景」「価格に見合わない」と受け取られています。
サイバートラックのダッシュボードは、中央に配置された巨大なタッチスクリーンと、独特の形状をしたステアリングホイール以外、物理的なボタンやメーター類がほとんど見当たりません。この極端にシンプルな空間は、クリーンで未来的な印象を与えると好意的に捉えるユーザーもいます。
しかし、ピックアップトラックという実用性が求められる車種において、このデザインは機能性に欠けると批判されています。例えば、手袋をしたままでも操作できる物理スイッチがないことや、豪華さや温かみに欠ける素材感は、従来のトラックユーザーから見れば「味気ない」「安っぽい」と感じられる要因です。
要するに、サイバートラックの内装は、テスラが提唱する未来の自動車像を体現したものである一方、その過度なシンプルさが、多くのドライバーが求める快適性や実用性、そして高級感といった価値観とは相容れないものだったのです。この点が、外観の評価と相まって「内装もどこかダサい」という印象に繋がっていると考えられます。
④防弾などサイバートラックは何がすごいのか
サイバートラックのデザインや評価には賛否両論ありますが、その一方で「何がすごいのか」という問いに対する答えは、主にその驚異的な耐久性と構造にあります。この車の最大の特徴は、「エクソスケルトン(外骨格)」と呼ばれるボディ構造です。
ウルトラハードステンレススチール採用のボディ
サイバートラックのボディには、「ウルトラハード30X冷延ステンレススチール」というテスラが開発した独自の合金が使われています。これは非常に硬く、銃弾(特定の条件下での拳銃弾など)さえも貫通させないほどの強度を持つとされています。このため、サイバートラックは「防弾性能を持つ」としばしば表現されます。この素材は、一般的な車のボディのように塗装を必要とせず、へこみや傷、腐食にも強いという実用的なメリットがあります。
デザインを決定づけた素材の特性
実は、あの独特な角張ったデザインは、この特殊なステンレススチール素材の特性が大きく影響しています。この素材は非常に硬いため、一般的な自動車工場で使われるプレス機で複雑な曲線に加工することが極めて困難です。その結果、ボディを平面的なパネルの組み合わせで構成せざるを得ず、必然的に直線的で角張ったデザインになったのです。
つまり、サイバートラックのすごさは、デザインの奇抜さだけでなく、そのデザインを生み出す原因となった「究極の耐久性と乗員保護」を追求した素材と構造にあると言えます。その結果として生まれたフォルムが、美的感覚と衝突し「ダサい」という評価に繋がっているのは、非常に興味深い点です。
⑤見た目だけではないサイバートラックの欠点
サイバートラックが「ダサい」と評される理由は、単なるデザインの好き嫌いに留まりません。その特異な設計思想は、実用面、特に安全性において専門家からいくつかの重大な欠点を指摘されています。
最も懸念されているのが、衝突時の安全性です。前述の通り、非常に硬いステンレススチール製のボディは、外部からの衝撃に対しては強いものの、事故の際にはそのエネルギーを適切に吸収・分散できない可能性があります。現代の自動車は、ボディの一部が意図的に潰れる「クランプルゾーン」を設けることで、衝撃を和らげ、乗員や衝突した相手(特に歩行者)へのダメージを軽減する設計が主流です。しかし、サイバートラックの硬すぎるボディは、この思想とは逆行しており、「巨大なハンマーのようだ」とまで形容されています。
また、ボディパネルの鋭利なエッジも問題視されています。万が一、歩行者と接触した場合、通常の丸みを帯びた車体に比べて、はるかに深刻なダメージを与える危険性が高いと考えられています。ドイツの技術検査協会の専門家は、このような設計では欧州の厳しい安全基準を満たすことは難しいだろうと警告しています。
これらの点から、サイバートラックの欠点は見た目の問題だけでなく、乗員や周囲の人々の安全に関わる本質的な課題をはらんでいることが分かります。デザインの斬新さを追求した結果、自動車が本来持つべき安全への配慮が二の次になっているのではないか、という批判が根強く存在するのです。
「サイバートラックはダサい」評価を裏付ける事実
- ①驚異的なサイバートラックの性能とは
- ②期待外れ?サイバートラックの価格設定
- ③サイバートラックの売れ行きは好調なのか
- ④リコールされた理由に見る安全性の懸念
- ⑤日本で走れない理由は何ですか?という現実
①驚異的なサイバートラックの性能とは
サイバートラックは、その外観や安全性に関する批判とは裏腹に、トラックとしての基本性能やEVとしての動力性能においては、驚異的なスペックを誇ります。この性能の高さが、デザインを度外視してでもこの車を支持するファンを生み出す大きな要因となっています。
まず、動力性能では、一部の高級スポーツカーをも凌駕します。最上位モデルである「サイバービースト」は、0-100km/h加速がわずか2.7秒という、巨大なピックアップトラックとは思えないほどの俊足です。この加速性能を活かし、ポルシェ911とのドラッグレースで勝利するプロモーション映像は大きな話題を呼びました。
次に、トラックとしての実用性も非常に高いレベルにあります。最大約4,990kg(11,000ポンド)という強力な牽引能力を持ち、荷台(カーゴベッド)は広大で耐久性の高い複合素材で作られています。さらに、荷台には電源コンセントが装備されており、電動工具の使用やキャンプなど、様々なアウトドア活動で電力を供給できる「オンボード電源」機能も備えています。
これらのことから、サイバートラックは単なる見た目が奇抜な車ではなく、「ピックアップトラックの実用性」と「スーパーカー並みのパフォーマンス」を両立させた、極めて高性能なEVであることは間違いありません。この圧倒的な性能こそが、多くの批判を覆すほどの強力な魅力となっているのです。
②期待外れ?サイバートラックの価格設定
サイバートラックの評価において、性能やデザインと並んで重要な要素が価格です。しかし、この点に関しても、当初の期待を裏切る形となり、一部の潜在的な顧客を失望させました。
2019年の発表当初、イーロン・マスク氏はサイバートラックのベースモデルの価格を39,900ドルからと予告していました。この価格設定は、高性能なEVピックアップトラックとしては非常に魅力的であり、世界中から多くの予約注文を集める原動力となりました。
しかし、数年の開発期間を経て、2023年末に正式な販売が開始された際、発表された価格は大きく異なっていました。最も安価な後輪駆動モデルでさえ60,990ドルからと、当初の予告から50%以上も値上がりしたのです。最上位モデルの「サイバービースト」に至っては、99,990ドルという価格が設定されました。
この大幅な価格改定の背景には、特殊なステンレススチール素材の加工コストや、世界的なインフレ、部品供給の問題などが影響していると考えられます。ただ、理由はどうあれ、当初の「手頃な価格で革新的なトラックが手に入る」という期待は裏切られる結果となりました。この価格設定が、サイバートラックの価値と見合っているかどうかは、消費者の判断に委ねられており、販売動向に影響を与える一因となっています。
③サイバートラックの売れ行きは好調なのか
鳴り物入りで登場したサイバートラックですが、その実際の売れ行きは「好調」と手放しで言える状況ではないようです。特に、EVピックアップトラック市場の主要な競合との比較において、その立ち位置が明確になります。
初期の予約注文は200万台を超えたとも報じられ、非常に高い注目を集めたことは事実です。しかし、これは100ドルという少額の返金可能な予約金で申し込めたため、実際の購入意欲を正確に反映しているとは言えません。
実際の販売が開始されてからのデータを見ると、状況は異なります。例えば、2024年の第1四半期において、アメリカ市場でのEVピックアップトラックの販売台数では、フォードの「F-150ライトニング」がサイバートラックを上回り、首位に立っています。F-150ライトニングは、伝統的なピックアップトラックのデザインを踏襲しつつEV化したモデルであり、より幅広い層に受け入れられていることがうかがえます。
以下の表は、サイバートラックと主要な競合との比較です。
このように、サイバートラックは非常に個性的で高性能ですが、価格やデザインの面でより保守的で受け入れられやすい競合が存在します。以上の点を踏まえると、サイバートラックの売れ行きは、熱狂的なファン層に支えられているものの、市場全体を席巻するには至っておらず、ニッチな市場に留まっているのが現状と言えるでしょう。
④リコールされた理由に見る安全性の懸念
サイバートラックのデザインや構造に起因する安全性への懸念は、専門家からの指摘だけに留まらず、実際にリコールという形で表面化しています。
2024年4月、テスラはアクセルペダルの不具合を理由に、それまでに出荷されたほぼ全てのサイバートラック(約3,878台)をリコールすると発表しました。このリコールされた理由は、アクセルペダルのパッドがずれて、ペダルが車両の内装トリムに引っかかり、意図せず加速し続ける危険性があるというものでした。これは製造過程での潤滑剤の不適切な使用が原因とされており、設計上の問題というよりは製造品質の問題です。
しかし、この一件は、サイバートラックが抱える安全性への懸念を改めて浮き彫りにしました。前述の通り、専門家からは硬すぎるボディや鋭角なデザインが衝突時に危険であると指摘されています。こうした設計思想に起因する根本的な問題に加えて、製造品質にまで問題が及んでいるとなれば、消費者からの信頼が揺らぐのは当然です。
たとえ今回のリコールが製造上の単純なミスであったとしても、斬新なコンセプトを形にするための新しい製造プロセスが、まだ安定していない可能性を示唆しています。これらの理由から、サイバートラックの安全性に対する評価は、依然として厳しいものがあるのが現実です。
⑤日本で走れない理由は何ですか?という現実
「サイバートラックは日本で走れない」という話をよく耳にしますが、その理由は何ですか?という疑問は多くの人が抱いています。結論から言うと、現在の仕様のままでは、日本の公道を走行することは極めて困難です。その背景には、主に「安全基準」と「サイズ」という2つの大きな壁が存在します。
日本の厳しい安全基準との不適合
最大の障壁は、日本の保安基準、特に歩行者保護に関する規制です。サイバートラックのボディ前面は、硬いステンレススチールで構成され、鋭い角を持つデザインになっています。これは、万が一歩行者と衝突した際に、相手に与えるダメージを軽減するための基準(歩行者頭部保護基準など)を満たすのが非常に難しいと考えられています。日本の基準では、ボンネットやバンパーには一定の衝撃吸収性が求められますが、サイバートラックの設計思想はこれとは大きく異なります。
車両サイズと重量の問題
もう一つの理由は、その巨大な車体です。サイバートラックの全幅は約2.2メートル(ミラーを除く)にも達し、これは日本の一般的な道路や駐車場では取り回しに苦労する大きさです。さらに、車両の総重量によっては、日本の普通免許で運転できない可能性も出てきます。
これらの理由から、テスラも日本でのサイバートラックの販売を正式に開始しておらず、ウェブサイトでは予約受付を中止している状態です。将来的に日本仕様のモデルが開発される可能性はゼロではありませんが、そのためにはデザインや構造に大幅な変更が必要となり、実現のハードルは非常に高いと言えるでしょう。
まとめ:結局サイバートラックはダサいのか
この記事では、サイバートラックがなぜ「ダサい」と評されるのか、その多角的な理由について解説してきました。最後に、その要点をまとめます。
- 未来的なデザインは「ローポリゴン」と揶揄され、一部で酷評された
- 海外の反応は称賛と酷評に真っ二つに分かれている
- 発表会での装甲ガラスの破損事故がネガティブイメージを増幅させた
- 内装は先進的だが「殺風景で安っぽい」との批判もある
- 「ダサい」という評価の根底には、既存の美意識との衝突がある
- 一方で、防弾も可能なステンレス製エクソスケルトンは画期的
- その素材の加工難易度が直線的なデザインを生み出した
- 0-100km/h加速2.7秒など、スーパーカー並みの性能を誇る
- 高い牽引能力やオンボード電源など、トラックとしての実用性も高い
- 当初の予告より50%以上高い価格設定に失望の声が上がった
- 実際の売れ行きは競合のフォードF-150ライトニングに及ばない
- アクセルペダルの不具合で全数リコール対象となった過去がある
- 硬すぎるボディや鋭角なエッジは、衝突安全性の観点から懸念されている
- 日本の歩行者保護基準を満たすのが困難で、公道走行は難しい
- 巨大な車幅も日本の道路事情に適合しない
以上の点から、「サイバートラックはダサい」という評価は、単なる主観的な感想ではなく、デザイン、安全性、価格、そして市場適合性といった複数の客観的な事実に根差していることが分かります。しかし、その評価は、この車が持つ革新的な技術や圧倒的な性能という側面を否定するものではありません。サイバートラックは、その賛否両論を含めて、自動車の未来に一石を投じた、記憶に残る一台であることは間違いないでしょう。
最後までお読み頂きありがとうございます♪

