「ホンダ・ヴェゼルの購入を考えているけれど、後部座席が狭いという評判が気になる…」と感じていませんか?
コンパクトSUVとして絶大な人気を誇るヴェゼルですが、スペースに関する評価は様々です。
特に、後部座席の幅や3人乗車時の快適性、真ん中の席の使い心地について疑問を持つ方は少なくありません。
また、旧型ヴェゼルの後部座席との違いや、新型ヴェゼルと旧型ヴェゼルのサイズ比較、リクライニング改造の可否といった具体的な情報も知りたいポイントでしょう。
さらに、ヴェゼルの後部座席は倒せますか?という基本的な質問から、実際の座席の倒し方や、それによって生まれる荷室の長さや広さまで、知りたいことは多岐にわたります。
この記事では、そうした疑問を一つひとつ解消していきます。
この記事のポイント
- ヴェゼルの後部座席が「狭い」と言われる具体的な理由
- 競合を圧倒するヴェゼルの「広さ」と実用性の秘密
- 旧型からの進化と、シートアレンジの正しい使い方
- 後席の快適性を向上させるための具体的な方法
なぜヴェゼルの後部座席は狭いと言われるのか?
- ①後部座席の室内幅が与える影響
- ②大人が後部座席に3人で乗車した印象
- ③中央席である真ん中の座り心地と構造
- ④旧型ヴェゼル後部座席からの変更点
- ⑤新型ヴェゼル旧型ヴェゼルサイズ比較
①後部座席の室内幅が与える影響
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ヴェゼルの後部座席が「狭い」と感じられる最も大きな物理的要因は、室内の横幅にあります。
新型ヴェゼルの室内幅
新型ヴェゼル(RV系)の室内幅は1,445mmと公表されています。
これはコンパクトSUVのクラスでは標準的な数値ですが、一部のライバル車と比較すると若干タイトな設計です。
例えば、トヨタのカローラクロスの室内幅は1,505mmあり、ヴェゼルよりも60mm(6cm)広くなっています。
この差は、実際に後部座席に座った際の肩周りの余裕に直結します。
大人2名が乗車する分には全く問題ありませんが、3人目が加わると、お互いの肩が触れ合う距離感になり、窮屈さを感じやすくなるのは事実です。
横幅に関する注意点
特に体格の良い大人が3人横に並ぶ場合、左右の乗員はドアに体が寄りかかり、中央の乗員は両側から圧迫感を受ける可能性があります。
この横方向のタイトさが、「ヴェゼルは狭い」という口コミの一因となっています。
このように、ヴェゼルの後席を評価する際は、絶対的なスペースが限られているという物理的な事実をまず理解しておくことが重要です。
②大人が後部座席に3人で乗車した印象
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カタログ上の乗車定員は5名ですが、ヴェゼルの後部座席に大人3人が快適に乗車するのは、現実的には短距離移動が限界と言えるでしょう。
多くの専門家やユーザーレビューでは、ヴェゼルを実質的な「4+1シーター」と評価しています。
これは「普段は4人乗りとして快適に使い、緊急時や短時間であれば5人目も乗車可能」という意味合いです。
なぜなら、3人乗車をすると前述の横幅の問題に加えて、中央席の構造的な問題が快適性を大きく損なうためです。
もしご家族や友人を乗せて大人5人で長距離ドライブをする機会が頻繁にあるのであれば、正直に申し上げて、ヴェゼルよりも室内幅の広いミニバンや、もう一つ上のクラスのSUVを検討する方が満足度は高くなるかもしれません。
利用シーンを具体的にイメージすることが重要です。
結論として、小学生くらいのお子様3人であれば問題なく対応できるものの、大人3人が後席で長時間快適に過ごすのは困難と考えるのが賢明です。
購入を検討する際は、5人乗車が常態化するかどうかが一つの判断基準になります。
③中央席である真ん中の座り心地と構造
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後部座席に3人乗車した際の快適性を左右するのが、中央席、つまり真ん中のシートの作りです。
ヴェゼルの場合、この中央席は快適な着座を主目的とした設計にはなっていません。
主な特徴は以下の通りです。
座面の形状とクッション性
左右の座席と比較して、中央席の座面はこんもりと盛り上がった形状をしています。
さらに、クッションも硬めに作られているため、体を安定させにくく、長時間の着座ではお尻が痛くなる可能性があります。
センタートンネルの存在
床面にも課題があります。後席中央には、4WDモデルのプロペラシャフトや排気系を通すための「センタートンネル」と呼ばれるトンネル状の出っ張りがあります。
これが中央席の乗員の足元スペースを大きく奪うため、足を自然に置くことができません。
3点式シートベルトの構造
ちなみに、中央席のシートベルトは天井から引き出して装着する「分離収納式」です。
装着する際はバックルが左右2か所にあり、少し手順に慣れが必要です。こうした点からも、中央席が補助的な位置づけであることがうかがえます。
これらの理由から、中央席はあくまでエマージェンシー用と割り切り、日常的な使用は大人2名までと考えるのが現実的な使い方と言えるでしょう。
④旧型ヴェゼル後部座席からの変更点
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2021年に登場した新型ヴェゼル(RV系)は、2013年から販売された旧型(RU系)から後部座席の設計思想を大きく転換しました。
旧型ヴェゼルの設計思想
旧型は「バランスの取れた万能選手」であったのに対し、新型は「特定の価値に特化したスペシャリスト」と言えます。
旧型ヴェゼルの後部座席は、十分な頭上空間と足元空間を両立させ、さらに限定的ながらもリクライニング機能まで備わっていました。
弱点が少なく、あらゆるニーズにそつなく応えるパッケージングが大ヒットの要因でした。
一方、新型ヴェゼルは「選択と集中」を行いました。主な変更点は以下のトレードオフに集約されます。
新型ヴェゼルの設計思想(トレードオフ)
- 失ったもの
頭上空間の余裕とリクライニング機能 - 得たもの
クラス最高の足元空間と、より厚みのあるシートクッション
ホンダは、リクライニング機構を廃止する代わりに、シートバック内部のクッション材をより厚く、サポート性の高いものに変更しました。
これは、角度調整という「動的な快適性」を手放し、誰が座っても一定の快適さが得られる「静的な快適性」を優先した、明確な哲学の転換です。
この変化を理解することが、新型ヴェゼルを正しく評価する上で不可欠です。
⑤新型ヴェゼル旧型ヴェゼルサイズ比較
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設計思想の違いは、具体的な数値にもはっきりと表れています。
新型と旧型の主要な寸法を比較してみましょう。
特に注目すべきは、ホイールベース(前輪と後輪の距離)が2,610mmで全く同じであるにも関わらず、室内のパッケージングが根本から見直されている点です。
寸法項目 | 新型ヴェゼル (RV系) | 旧型ヴェゼル (RU系) | 差分 |
---|---|---|---|
全長 | 4,330 mm | 4,295-4,330 mm | ほぼ同等 |
全幅 | 1,790 mm | 1,770 mm | +20 mm |
全高 | 1,580-1,590 mm | 1,605 mm | -15~25 mm |
室内長 | 2,010 mm | 1,930 mm | +80 mm |
室内幅 | 1,445 mm | 1,485 mm | -40 mm |
室内高 | 1,225-1,240 mm | 1,265 mm | -25~40 mm |
足元空間 | 大幅に拡大 (+35mm) | 広い | 拡大 |
リクライニング機能 | なし | あり | 廃止 |
(参照:Honda公式サイト、各種自動車情報サイト)
この表から、新型ヴェゼルが室内長を80mmも拡大し、その恩恵を後席の足元空間に集中させていることが読み取れます。
その一方で、クーペ風のスタイリッシュなデザインを実現するために全高を下げ、室内高や室内幅を犠牲にしていることが分かります。
これは、新型が旧型の焼き直しではなく、全く新しいコンセプトで再設計されたことを雄弁に物語っています。
「ヴェゼル後部座席は狭い」評価を覆す広さと実用性
- ①クラストップレベルで広い足元空間
- ②後席足元の長さがもたらす快適性
- ③そもそもヴェゼルの後部座席は倒せますか?
- ④多彩なシートアレンジと座席の倒し方
- ⑤非推奨なリクライニング改造と代替案
- ⑥まとめ:結局ヴェゼルの後部座席は狭いのか
①クラストップレベルで広い足元空間
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「狭い」という評価がある一方で、ヴェゼルの後部座席には競合他車を圧倒する強力なアドバンテージがあります。それが、クラス最高レベルを誇る後席の足元空間です。
この驚異的な空間効率を実現しているのが、ホンダ独自の特許技術「センタータンクレイアウト」です。
一般的な車では後部座席の下に配置される燃料タンクを、ヴェゼルでは前席(運転席・助手席)の下に移動させています。
これにより後席足元の床を低くフラットに設計でき、広大なスペースを生み出すことに成功しているのです。
センタータンクレイアウトの恩恵
この技術のおかげで、新型ヴェゼルは旧型と比較して後席の足元空間が約35mmも拡大しました。
ミドルクラスのSUVに匹敵するとも言われるほどの広さは、ヴェゼルがファミリーユースで高く評価される大きな理由の一つです。
横幅のタイトさとは対照的に、足元の広さはヴェゼルの明確な「強み」であり、この点を重視するユーザーにとっては、他の何にも代えがたい魅力となります。
②後席足元の長さがもたらす快適性
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前述の広大な足元空間は、後席乗員に具体的にどのような快適性をもたらすのでしょうか。
それは、長距離移動における疲労感の軽減に他なりません。
身長170cmの大人が適切なドライビングポジションを取った運転席の後ろに座っても、膝先から前席シートバックまでの空間(ニークリアランス)には、握りこぶしが縦に2個半~3個も入るほどの余裕があります。
これは、大柄な男性でも足を組んで座れるほどの広さです。
このゆとりある足元の「長さ」は、乗員が姿勢を自由に変えられることを意味します。
長時間同じ姿勢でいることを強いられる狭い空間とは異なり、足を伸ばしたり組み替えたりできるため、エコノミークラス症候群のリスクを低減し、ドライブ全体の快適性を飛躍的に向上させます。
後席にお子様やご両親を乗せる機会が多い方にとって、この足元の広さは非常に重要なポイントです。
チャイルドシートを設置しても圧迫感が少なく、お年寄りの乗り降りもスムーズに行えます。
まさに「おもてなしの空間」と言えるでしょう。
ヴェゼルの後席は、横方向のスペースよりも、前後方向のゆとりを優先することで、乗員2名が最大限リラックスできる空間を追求しているのです。
③そもそもヴェゼルの後部座席は倒せますか?
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はい、もちろんヴェゼルの後部座席は倒すことができます。
6:4の分割可倒式
しかも、単に背もたれが倒れるだけでなく、ホンダ独自の非常に優れた機構によって、多彩で実用的な荷室空間を作り出すことが可能です。
後部座席は、左右で「6:4の分割可倒式」となっています。
これにより、乗車人数や荷物の大きさに応じて、片側だけを倒したり、両方とも倒して荷室を最大化したりと、柔軟な使い方ができます。
ダイブダウン機構
ヴェゼルの特徴は、背もたれを倒す操作と連動して、座面が自動的に下方向へ沈み込む「ダイブダウン」と呼ばれる機構にあります。
このおかげで、荷室の床から倒したシートバックまでがほぼ段差のないフラットな空間になり、長尺物の積載や車中泊に非常に便利です。
このように、ヴェゼルは後部座席を倒すことで、コンパクトSUVとは思えないほどの広大で使いやすいラゲッジスペースを実現しています。
④多彩なシートアレンジと座席の倒し方
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ヴェゼルの実用性を象徴するのが、「マジックシート」とも呼ばれる多彩なシートアレンジ機能です。
これは「ダイブダウン」と「チップアップ」という2つの代表的な操作から成り立っています。
ダイブダウン(フラット格納)
これは、後席を倒して荷室を拡大する際の基本的な操作です。手順は非常に簡単です。
- 後席のヘッドレストを一番下まで下げます。
- 肩口にあるレバーを引きながら、背もたれを前方に倒します。
- 連動して座面が沈み込み、フラットな荷室空間が完成します。
新型ヴェゼルでは旧型よりもさらにフラット性が向上し、市販のマットを使えば大人でも快適に車中泊が可能なスペースを確保できます。
チップアップ(トールモード)
チップアップは、ヴェゼルの独自性が最も際立つ機能です。
後席の座面を、まるで映画館の椅子のように跳ね上げて固定します。
- 後席の座面の前側を持ち上げます。
- カチッと音がするまで引き上げ、座面下の脚を格納して背もたれに固定します。
この操作により、後席の足元スペースが、床から天井まで最大1,250mmの高さを持つ、もう一つの荷室に早変わりします。
背の高い観葉植物や、折りたたまずに立てたベビーカー、自転車などを安定して積載できる、他のSUVにはない大きなメリットです。
⑤非推奨なリクライニング改造と代替案
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新型ヴェゼルには後席のリクライニング機能がありません。
そのため、一部では「リクライニング改造」を検討する声も聞かれますが、結論から言うと、シートの構造を変更するような改造は絶対におすすめできません。
改造が非推奨である理由
- 安全性の低下:シートは衝突時の乗員保護を担う重要な保安部品です。改造により強度が低下し、万が一の事故の際に乗員を適切に保護できなくなる危険性があります。
- 車検不適合のリスク:構造変更は不正改造とみなされ、車検に通らなくなる可能性が非常に高いです。
リクライニング機能がないことに不満を感じる場合でも、安全性を犠牲にする改造は避けるべきです。
安全な代替案:後付けクッションの活用
どうしても背もたれの角度を調整したい場合の現実的で安全な代替案として、アフターマーケットで販売されているバックレストクッションの活用があります。
これは、シートと体の間に挟むことで着座角度を調整する快適性補助具です。
製品によっては体感的に7~8度ほど角度を寝かせることができ、純正シートの角度が立ちすぎていると感じる方にとっては、長距離移動時の疲労を軽減する有効な選択肢となり得ます。
これらはシートの構造を一切変更しないため、安全に使用できます。
⑥まとめ:結局ヴェゼルの後部座席は狭いのか
この記事で解説してきた内容をまとめます。
ヴェゼルの後部座席に関する評価は、あなたが何を重視するかによって大きく変わります。
- 「狭い」と感じる主な要因は、横幅のタイトさと大人3人乗車時の窮屈さ
- 特に中央席は補助的な作りで、長時間の着座には向かない
- クーペ風デザインのため、ライバルに比べて頭上空間にも余裕がない
- 旧型にあったリクライニング機能は新型では廃止された
- 一方で、後席の足元空間はクラス最高レベルで圧倒的に広い
- この広さはホンダ独自の「センタータンクレイアウト」技術の賜物
- 広大な足元は、後席乗員2名の長距離移動を非常に快適にする
- シートアレンジの多彩さはヴェゼルの大きな魅力
- 「ダイブダウン」で実現するフラットな荷室は車中泊にも対応
- 「チップアップ」機能は、背の高い荷物を積む際に他に代えがたい価値を提供
- リクライニング機能の不在は、シート自体のクッション性向上とのトレードオフ
- 安全性を損なうリクライニング改造は絶対にNG
- 快適性を向上させたい場合は、後付けの専用クッションが有効な選択肢
- ヴェゼルの後席は「後席乗員2名の快適性」と「荷室の柔軟性」に特化した設計
- 利用シーンがこの価値と合致するなら、最高の選択肢の一つとなる
最後までお読み頂きありがとうございます♪


