「スカイラインV35はダサい」という評価を見て、本当なのか気になっていませんか。
V35型は、従来のファンから不人気との声も上がったモデルです。特にセダンのデザインが物議を醸し、一方でスタイリッシュなクーペは高く評価されるなど、評価が二分しています。
また、「スカイラインじゃない35はなんでRなんですか?」というGT-Rとの関係や、後継のV35 V36 違いについても疑問が多いモデルです。
現在では中古車市場で注目されており、カスタムベースとしての人気も再燃しています。
しかし、購入を考えると「V35の自動車税はいくらですか?」や「V35スカイラインセダンの維持費はいくらですか?」といった現実的なコストが心配になるでしょう。
この記事では、V35が「ダサい」と言われた背景から、その後のモデル(例えば「スカイラインハイブリッドはなぜやめたのですか?」という疑問)まで、V35の真の価値を徹底的に解明します。
この記事のポイント
- V35が「ダサい」や「不人気」と言われた歴史的背景
- セダンとクーペの決定的な違いとそれぞれの魅力
- V36やR35 GT-Rとの関係性
- 中古車購入時の維持費(自動車税)やカスタムのポイント
スカイラインV35がダサいと言われる理由の分析
- 不人気?伝統と決別したV35
- V35セダンのデザインと丸テール廃止
- 高評価だったV35クーペの魅力
- スカイラインじゃない35はなんでR?
- V35とV36の違いは丸テールと内装
不人気?伝統と決別したV35
V35型スカイラインが「不人気」や「ダサい」と評された背景には、日産の戦略的な転換と、それに伴う伝統との決別があります。
従来のスカイライン、特にR34型までは、モータースポーツでの活躍を背景にした「走りのスカイライン」というイメージが強烈でした。
しかし、V35型は、ルノー・日産アライアンスのもとで開発された最初のモデルであり、その開発思想が根本から異なっていたのです。
最大の変更点は、スカイラインの象徴であった直列6気筒(RB系)エンジンを廃止し、新開発のV型6気筒(VQ系)エンジンを採用した点です。
さらに、V35の主なターゲットは日本国内(JDM)ではなく、北米市場をメインターゲットとした「インフィニティG35」としての役割でした。
V35の戦略的転換
V35は、従来の国内向けスポーツセダンから、快適性、室内空間、洗練性を重視するグローバルなプレミアムセダンへと大きく舵を切りました。
このため、ホイールベースは大幅に延長され、車体も大型化。この「高級車」へのシフトが、従来のスポーツ志向のファンにとっては「スカイラインらしくない」という違和感、すなわち「不人気」の烙印を押す最大の理由となったのです。
V35セダンのデザインと丸テール廃止
V35、特にセダンモデルが「ダサい」と言われるようになった決定的な要因は、そのデザインにあります。
R34型までが持っていたシャープで攻撃的な直線基調のフォルムとは対照的に、V35セダンは丸みを帯びたフォルムを採用しました。
このデザインは、一部の批評家から「ウーパールーパーに似ている」や「(地平線の名を持つ車として)怠惰ででぶなデザイン」とまで揶揄されました。
これは論理的な評価以前の、生理的な拒絶反応に近いものがありました。
そして、その拒絶反応を決定づけたのが、スカイラインの聖域とも言える「丸型4灯テールランプ」の廃止です。コスト削減と生産効率を優先した結果、V35の前期・中期セダンは丸型ではないテールランプを採用しました。
これは多くの長年のファンにとって、ブランドの魂を売ったにも等しい行為と映りました。
ちなみに、あまりの批判の多さから、セダンはマイナーチェンジ(後期型)でLED式の丸型テールランプを復活させました。
しかし、多くのファンにとっては「後付けの言い訳」のように感じられ、一度失った信頼を取り戻すのは困難でした。
高評価だったV35クーペの魅力
V35型スカイラインは、セダンとクーペで全く異なる評価を受けています。
「ダサい」という批判は主にセダンに向けられたもので、クーペ(CPV35)のデザインは国内外で非常に高く評価されました。
V35クーペは、セダンのドアを2枚にしただけの車ではありません。
デザインは流麗でエレガントなスタイルを持ち、その完成度の高さから2003年度のグッドデザイン賞を受賞しています。
エンジニアリング面でも専用設計が施されています。
セダンよりも全幅は65mm広く、全高は75mmも低い、ワイド&ローなスタンスを持っていました。
さらに、高い走行性能に対応するためボディには大幅な補強が加えられ、引き締まった乗り味を実現しています。
セダンが快適性重視のAT中心だったのに対し、クーペには3.5L(280ps)エンジンと6速マニュアルトランスミッション(6MT)が設定されました。
このため、セダンを批判したファンでさえ、「クーペは別物」として認めるケースが多かったのです。
スカイラインじゃない35はなんでR?
「スカイラインじゃないV35なのに、なぜGT-RはR35なんですか?」という疑問は、この時代のスカイラインを理解する上で非常に重要です。
結論から言うと、日産はR35型から「GT-R」をスカイラインのラインナップから完全に独立させたからです。
R34型までのGT-Rは、あくまで「スカイライン」というセダン/クーペのプラットフォームをベースにした最強グレードでした。
しかし、日産はR35 GT-Rを世界と戦える真のスーパースポーツカーとして開発することを決定します。
そのためには、セダンと共通のプラットフォームでは性能、重量、パッケージング全てにおいて妥協が必要となり、世界一を目指すことは不可能でした。
そこで、GT-Rはスカイラインの呪縛から解き放たれ、「日産 GT-R」という独立した車種として専用設計で開発されました。
この戦略的な分離により、ネーミングも明確に分けられたのです。
「V」と「R」の命名規則
- V35 (スカイライン)
新開発の「V」型6気筒エンジンと新プラットフォームに移行した世代(V35, V36, V37…)。 - R35 (GT-R)
R32, R33, R34というパフォーマンスの血統「R」を受け継ぐ、独立したスーパースポーツカー。
つまり、「V35 GT-R」というモデルは公式には存在せず、スカイラインは「V」の道を、GT-Rは「R」の道をそれぞれ歩むことになったのです。
V35とV36の違いは丸テールと内装
V35型と、その後継モデルであるV36型は、基本的なコンセプト(プレミアムスポーツセダン/クーペ)を引き継ぎつつも、多くの点で洗練・改善されています。
V36型は、V35型が受けた批判を徹底的に改善したモデルと言えます。
まずデザイン面では、伝統の丸型4灯テールランプがデビュー当初から完全に復活しました。
スタイリングも、V35の丸みを帯びたものから、より筋肉質で抑揚のあるシャープなデザインへと進化しています。
最大の進歩は、V35の弱点であった内装(インテリア)の質感です。
V36では素材やデザインが大幅に見直され、高級車にふさわしいモダンで質感の高い空間を実現しました。
また、V35で指摘された高めのシートポジションも改善され、より低いドライビングポジションを取れるようになっています。
エンジンも新世代化され、クーペには3.7Lの「VQ37VHR」エンジン(333ps)が搭載されました。
これはV35のVQ35DE(280ps)よりも高回転までスムーズに吹け上がり、レスポンスも向上しています。
V35が過去との決別という「変革の衝撃」を全て受け止めたおかげで、V36はより洗練された「正統進化」モデルとして市場に受け入れられました。
V35は、V36以降の成功の礎を築いた重要なモデルなのです。
側面 | V35 スカイライン クーペ | V36 スカイライン クーペ |
---|---|---|
デザイン哲学 | グローバル・プレミアムへの転換 | V35コンセプトの洗練・スポーティ化 |
テールランプ | 丸型(セダン前期・中期は非丸型) | 丸型4灯(全車標準) |
インテリア品質 | 実用的だが質感に課題あり | 大幅な質感向上、モダンなデザイン |
主要エンジン | VQ35DE (3.5L / 280ps) | VQ37VHR (3.7L / 333ps) |
ドライビングポジション | やや高め | 低く設定可能 |
スカイラインV35はダサい!?中古車の購入ガイド
- V35の中古車選びと注意点
- V35の自動車税はいくら?13年超の重課
- V35スカイラインセダンの維持費は高い?
- V35のカスタムパーツと人気
- スカイラインハイブリッドはなぜやめた?
- まとめ:スカイラインV35がダサいとは言わせない魅力
V35の中古車選びと注意点
V35型スカイラインは、今や中古車市場で非常に魅力的な価格帯に入っていますが、生産終了から年月が経過しているため、購入には注意が必要です。
現在の中古車市場では、かつて不人気と言われたセダン、特に2.5Lモデルは手頃な価格で流通しており、FR(後輪駆動)セダンの入門として狙い目です。
一方、クーペ、特に6速MTモデルは人気が再燃しており、価格が上昇傾向にあります。状態の良い個体は希少になってきています。
V35はすでに旧車の域に入りつつあるため、経年劣化によるトラブルは避けられません。
購入時には以下の「定番トラブル」を必ずチェックしてください。
V35 中古車購入時チェックリスト
- エンジンからのオイル漏れ
特にタペットカバーやオイルパン周辺は定番です。 - ラジエーターのアッパータンク
樹脂製タンクのひび割れによる冷却水漏れは非常に多いトラブルです。必ず確認してください。 - パワーウィンドウの故障
ドア開閉時にガラスが少し上下する機構のため、モーターやレギュレーターに負担がかかりやすく、故障の定番箇所です。 - ダッシュボードのベタつき
内装素材の経年劣化でダッシュボードがベタベタになる現象。美観を大きく損なうため、内装の状態は重要です。 - その他センサー類
O2センサーやカム角センサーの不調も報告されています。
相場より極端に安い車両や、メンテナンス履歴(整備記録簿)が不明な車両は、これらのトラブルを抱えているリスクが高いため、避けるのが賢明です。
V35の自動車税はいくら?13年超の重課
V35型スカイラインの購入を検討する上で、最も重要な維持費の一つが自動車税です。
V35は全モデルが2001年~2007年の製造であるため、決定的な注意点があります。
それは、全車が初年度登録から13年を超過しているため、自動車税が約15%重課(増税)されることです。
V35の自動車税は排気量によって異なり、2.5Lモデル(2,495cc)と3.5Lモデル(3,498cc)の2区分が主となります。それぞれの重課後の税額目安は以下の通りです。
排気量 | 標準税額 | 13年超 重課後税額 (約15%増) |
---|---|---|
2.5L (2,495cc) | 45,000円 | 約 51,700円 |
3.5L (3,498cc) | 58,000円 | 約 66,700円 |
自動車税は毎年支払う固定費です。購入を検討する際は、必ずこの重課された金額を前提に資金計画を立てるようにしてください。
V35スカイラインセダンの維持費は高い?
自動車税以外にも、V35スカイラインセダン(およびクーペ)の維持には相応のコストがかかります。
「ダサい」と評されたセダンであっても、中身はプレミアムカーであるためです。
燃料費(ガソリン代)
V35に搭載されているVQ型エンジンは、全グレードで無鉛プレミアムガソリン(ハイオク)指定です。
レギュラーガソリンは使用できません。
燃費性能も現代の車と比較すると良いとは言えません。
2.5Lセダンのカタログ燃費(10・15モード)が約12.0km/L、3.5Lクーペが約8.6〜9.3km/Lであり、実燃費(特に市街地)はこれを下回ります。
走行距離が多い場合、燃料費は大きな負担となります。
メンテナンス・修理費
前述の「中古車選びと注意点」で挙げたような、ラジエーターやパワーウィンドウ、各種ブッシュ類などの経年劣化によるトラブルは、所有期間中に発生する可能性が高いです。
これらの修理費用として、あらかじめ年間10万円~程度の積立金を見込んでおくと安心です。
年間維持費シミュレーション(目安)
2.5Lセダン(年間1万km走行)の場合、自動車税(約5.2万円)、車検費用(年換算約5万円)、燃料代(ハイオク・実燃費8km/Lと仮定し約20万円)、任意保険料、メンテナンス積立金(約10万円)などを合計すると、年間でおおよそ40万円~50万円程度の維持費がかかる計算になります。
項目 | 詳細 | 目安金額・補足 |
---|---|---|
燃料費(ガソリン代) | 指定ガソリン | 全グレードで無鉛プレミアムガソリン(ハイオク)指定
(レギュラーガソリンは使用不可) |
カタログ燃費 (10・15モード) | 2.5Lセダン: 約12.0km/L
3.5Lクーペ: 約8.6〜9.3km/L |
|
注意点 | 実燃費(特に市街地)は上記を下回る傾向があります。 | |
メンテナンス・修理費 | 主なトラブル箇所 | ラジエーター、パワーウィンドウ、ブッシュ類などの経年劣化。 |
推奨費用 | 年間10万円~程度の修理積立金を見込むと安心です。 | |
年間維持費シミュレーション
(目安) |
対象モデル例 | 2.5Lセダン (年間1万km走行と仮定) |
費用内訳 (一例) | ・自動車税: 約5.2万円
・車検費用 (年換算): 約5万円 ・燃料代 (実燃費8km/L仮定): 約20万円 ・メンテナンス積立金: 約10万円 ・その他: 任意保険料など |
|
年間合計 (目安) | 約40万円 ~ 50万円程度 |
V35のカスタムパーツと人気
V35は、発売から時間が経過した現在、カスタムベースとして高い人気を誇っています。
特にクーペは、その素性の良いデザインを活かしたカスタムが人気です。
エクステリア(外装)では、NISMO、URAS、CHARGESPEEDといった有名ブランドからエアロパーツが豊富にリリースされています。
また、車高調キットや社外ホイールで足回りを引き締めるのが定番のカスタムです。
セダンにおいて特に人気が高いのが、前期・中期モデルに後期型の丸型LEDテールランプを移植するカスタムです。
これにより、「ダサい」と言われた最大の要因であるテールデザインを、ファンが望んだ「スカイラインらしい」姿に変更することができます。
パフォーマンス面では、ブレーキのアップグレードや、劣化したサスペンションブッシュ類を交換する「リフレッシュカスタム」も重要です。
これにより、新車時のシャープな走りを取り戻すことができます。
スカイラインハイブリッドはなぜやめた?
この疑問はV35ではなく、後のV37型に関するものですが、スカイラインの進化の軌跡を知る上で重要です。
V37型に設定されていたスカイラインハイブリッドが生産終了(廃止)となった理由は、主に3つあります。
- 規制の壁
直接的な引き金となったのは、搭載されていたVQ35HRエンジンが、新たに強化された騒音規制の基準を満たすことができなかったためです。対策コストに見合う販売台数が見込めないと判断されました。 - システムの陳腐化とコスト
V37のハイブリッドシステム(1モーター2クラッチ方式)は構造が複雑で製造コストが高く、その燃費性能も、日産が主力とするより効率的な「e-POWER」システムと比較して、もはや競争力を失っていました。 - 市場の需要
高価なハイブリッドモデルよりも、パワフルなツインターボのガソリンモデルの方が市場での需要が高く、セダン市場全体の縮小も重なり、ラインナップから外れることになりました。
まとめ:スカイラインV35がダサいとは言わせない魅力
V35型スカイラインが「ダサい」と評されたのは事実ですが、それは特定の側面、特に伝統的なファンからの視点に過ぎません。
その評価の裏には、日産がグローバル企業へと変革するために避けて通れなかった「生みの苦しみ」がありました。
この記事のポイントをまとめます。
- V35が「ダサい」と言われたのは伝統的な直6や丸テールを廃止したため
- 北米市場のインフィニティG35として開発されたグローバル戦略車だった
- セダンはデザインが賛否両論を呼んだ
- クーペはデザインが高く評価されグッドデザイン賞を受賞した
- R35 GT-Rはスーパースポーツカーとして独立したためV35とは別系列
- V36はV35のコンセプトを洗練させ丸テールや内装の質感を向上させた
- 中古車市場ではクーペのMTモデルが特に人気
- 購入時はラジエーターやパワーウィンドウの故障に注意
- ダッシュボードのベタつきは定番のトラブル
- 自動車税は全車13年超えで約15%重課される
- 2.5Lの重課後税額は51,700円が目安
- 3.5Lの重課後税額は66,700円が目安
- 燃料はハイオク指定で現代の車より燃費は良くない
- カスタムベースとしての人気は今も高い
- V35はスカイラインが現代化するための重要な過渡期のモデル
最後までお読み頂きありがとうございます♪