マツダのプレミアムSUV、CX-60の中古車が市場で手頃な価格になっていることに、疑問をお持ちではないでしょうか。
「CX-60の中古が安い理由を知りたい」「何か問題があるのでは?」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
発売当初、一部では失敗だった、がっかりしたとの声も聞かれましたが、その真相はどうなのでしょうか。
この記事では、CX-60の中古車市場の価格背景を徹底的に掘り下げます。
初期モデルの不具合まとめから、2025年モデルイヤーのマイナーチェンジによる改善点、さらには世界での販売台数や値引き情報まで、あらゆる角度から解説します。
また、マツダ車が不人気な理由は何ですか?、CX-60の問題点は何ですか?、そしてCX-60は高級車ですか?といった、多くの人が抱く疑問にもお答えします。
この記事を読めば、あなたに最適な中古のおすすめグレードを見つけるための確かな知識が身につくはずです。
- CX-60の中古車が市場で安価になっている根本的な理由
- 発売初期モデルの具体的な問題点と改良後の違い
- 競合する他のSUVと比較した際のCX-60の立ち位置
- 後悔しないための中古車の選び方とおすすめのグレード
評判から見るCX-60の中古が安い理由
- ①初期モデルは失敗だったのか?
- ②オーナーをがっかりさせた乗り心地
- ③初期モデルの不具合まとめ
- ④CX-60の問題点は何ですか?
- ⑤マツダ車が不人気な理由は何ですか?
- ⑥CX-60は高級車ですか?
①初期モデルは失敗だったのか?
結論から言えば、マツダCX-60の初期モデルは「失敗」というよりも「未完成な状態で市場に投入された挑戦的なモデル」と評価するのが最も適切です。
マツダがプレミアムブランドへと大きく舵を切る中で、新開発のFR(後輪駆動)プラットフォーム、直列6気筒エンジン、そしてトルコンレス8速ATといった数々の新技術を同時に採用しました。
この意欲的な試みは大きな期待を集めましたが、一方で熟成不足が露呈する結果となります。
実際、市場投入直後から多くの自動車ジャーナリストやオーナーから「公道を使った最終テスト」「公開ベータテスト」と揶揄されるほど、走行性能の根幹に関わる部分で多くの課題が指摘されました。
本来であれば、メーカー内部で解決しておくべき問題点が市場で明らかになったことで、結果的に「失敗作」という厳しいレッテルを貼られることになったのです。
新技術同時投入のリスク
通常、自動車開発ではプラットフォームかパワートレインのどちらか一方を刷新し、もう一方は既存のものを改良して使うことで信頼性を確保します。
しかし、CX-60ではその両方を一度に新開発しました。
この前例の少ない開発手法が、予期せぬ不具合が多発する一因になったと考えられています。
このように言うとネガティブな印象が強いかもしれませんが、これらの課題は後の改良で着実に改善されています。
つまり、初期モデルが抱えていた問題点が、中古車市場での価格形成に大きく影響しているのです。
②オーナーをがっかりさせた乗り心地
CX-60の初期モデルにおいて、オーナーを最もがっかりさせたのがプレミアムSUVとして期待される水準に達していなかった乗り心地です。
特に批判が集中したのは、硬すぎる足回りに起因する問題でした。
具体的には、時速30~50km程度の市街地走行で、路面のわずかな凹凸やマンホールを乗り越える際に、リアから「ドンッ」という強い突き上げ感が伝わってきました。
さらに、一度発生した揺れがなかなか収まらず、特に後部座席では常に車体が上下に揺すられるような不快な乗り心地だったとの報告が多数あります。
これは、同価格帯の競合車であるトヨタ・ハリアーやレクサスNXが提供する快適な乗り味とは対照的でした。
この問題の背景には、マツダが理想とする「人馬一体」のハンドリング性能を追求するあまり、サスペンションの設計で快適性を犠牲にしてしまった点があります。
乗り心地を損なった技術的要因
- 硬すぎるダンパーとスプリング設定
ハンドリングの応答性を高めるために足回りを硬くしすぎた結果、路面からの衝撃を吸収しきれなくなりました。 - ピロボールジョイントの採用
スポーツカーであるロードスターのように、アーム連結部にゴムブッシュではなく金属製のピロボールを採用。これによりダイレクトな操作感は得られましたが、ゴムが持つ衝撃吸収効果がなくなり、微振動までボディに伝えてしまう副作用がありました。
これらの技術的な選択が、結果として多くのオーナーを「がっかり」させる乗り心地につながり、CX-60の初期評価を大きく下げる原因となったのです。
もちろん、この乗り心地の問題は後の改良で劇的に改善されています。
③初期モデルの不具合まとめ
乗り心地の問題に加えて、CX-60の初期モデルは多岐にわたる不具合やリコールに見舞われました。
これらの問題は、車両の信頼性に対する懸念を生み、中古車価格が下落する大きな要因となっています。
ここでは、特に報告が多かった不具合を系統別にまとめます。
駆動系の不具合:トルコンレス8速ATの問題
CX-60の評価に最も大きな影響を与えたのが、新開発のトルコンレス8速ATの制御プログラムの未熟さです。
トルクコンバーターを持たない構造はダイレクトな加速感をもたらす一方で、非常に繊細なクラッチ制御が求められます。
初期モデルではこの制御が不十分で、以下のような症状が頻発しました。
- 低速域でのギクシャク感
渋滞時や駐車場でのストップ&ゴーの際に、車が前後にカクカクと揺れる。 - 変速ショック
特に1速から3速へのシフトアップ時に、大きな衝撃と共に「ガツン」という音がする。 - 発進時のもたつき
アクセルを踏んでもスムーズに発進しないことがある。
リコール対象となった主な不具合
CX-60は発売後、短期間に複数の大規模リコールを実施しました。これは品質に対する不安を増大させました。
発表時期(参考) | 対象システム | 不具合の概要 |
---|---|---|
2024年10月 | 動力伝達装置・原動機 | マイルドハイブリッド車で制御プログラムに不備があり、エンジンが再始動できなくなったり、最悪の場合エンストに至るおそれがあった。 |
2024年5月 | 衝突被害軽減ブレーキ | 前方のレーダーが障害物がないにも関わらず誤作動し、急ブレーキがかかるおそれがあった。 |
2024年2月 | 電動パワーステアリング | 内部部品の不具合により、警告灯が点灯しハンドル操作が重くなるおそれがあった。 |
2023年4月~11月 | 各種制御コンピュータ | エンジン制御やビューモニター、トランスミッションなどのプログラム不備により、警告灯の点灯や表示不良が発生するおそれがあった。 |
その他オーナーから報告された不具合
公式なリコール以外にも、オーナーコミュニティなどでは以下のような様々な不具合が報告されていました。
- 機械・シャシー系
ハンドル操作時の引っ掛かり、サスペンションからの異音、タイヤの偏摩耗など。 - 電子・ソフトウェア系
ナビ画面のブラックアウト、各種センサーのエラー、ドアミラーの誤作動など。 - 品質・製造関連
内装からのきしみ音、ドアを閉めた際の安っぽい音など。
これらの問題群は、CX-60の初期モデルが多くの新技術を統合する上での「産みの苦しみ」を抱えていたことを示しています。
④CX-60の問題点は何ですか?
ここまで見てきたように、CX-60が抱えていた問題点は、読者の皆様が検索されたように多岐にわたります。
これらを整理すると、大きく「技術的な課題」と「戦略的な課題」の2つに大別できます。
技術的な課題
- サスペンションの設計思想
ハンドリング性能を過度に優先した結果、特に初期モデルでは快適性が大幅に犠牲になりました。硬いスプリングやピロボールの採用が裏目に出た形です。 - トランスミッション制御の未熟成
新開発のトルコンレス8速ATは、ダイレクト感というメリットがありましたが、それを制御するソフトウェアが市場投入時点で完成度に欠けており、多くのユーザーに不快なギクシャク感を与えました。 - 多数の初期不良とリコール
パワーステアリングや衝突被害軽減ブレーキなど、安全に関わる重要な部分でリコールが頻発し、車両全体の信頼性に疑問符が付きました。
戦略的な課題
- 市場投入のタイミング
多くの新技術が十分に熟成されないまま市場に投入されたことは、「ユーザーをベータテスターにしている」との批判を招きました。これはマツダのブランドイメージに傷をつける結果となりました。 - 価格と価値のミスマッチ
プレミアムな価格設定に見合うだけの「洗練性」や「完成度」が初期モデルには伴っていませんでした。これにより、多くの消費者が価格に見合う価値を感じられず、評価を下げる一因となりました。
言ってしまえば、CX-60は「素材は一級品だが、調理(統合と熟成)が不十分なまま提供されてしまった料理」のような状態でした。
直列6気筒エンジンやFRプラットフォームといった素晴らしい素材のポテンシャルを、初期モデルでは十分に引き出せていなかったのです。
これらの問題点が、中古車市場での価格が安くなる直接的な原因となっています。
ただ、繰り返しますが、これらの問題点の多くはその後の改良によって解決されています。
そのため、中古車を選ぶ際には「どの時期のモデルか」を見極めることが非常に重要になるのです。
⑤マツダ車が不人気な理由は何ですか?
「マツダ車が不人気」というキーワードで検索されることがありますが、実際にはマツダ車全体が不人気というわけではありません。
むしろ、デザイン性の高さや運転の楽しさから、熱心なファンを持つブランドです。
しかし、CX-60の苦戦にも通じる、マツダが抱えるいくつかの構造的な課題が「不人気」という印象に繋がっている可能性があります。
1. プレミアム戦略と大衆ブランドイメージの乖離
近年のマツダは、より上質な内外装と走りを追求する「プレミアム路線」を推進しています。CX-60はこの戦略の象徴的なモデルです。
しかし、多くの消費者にとってマツダは依然として「コスパの良い実用的な車を作るメーカー」というイメージが根強く残っています。
このため、CX-60のような高価格帯のモデルが登場すると、「マツダなのにこの価格は高すぎる」と感じられ、レクサスや輸入車と比較されてしまい、ブランド力で見劣りする場面が出てきます。
2. 「マツダ地獄」の記憶とリセールバリューへの懸念
かつてマツダは、大幅な値引き販売が中古車価格の暴落を招き、一度買うと他社に乗り換えにくい「マツダ地獄」と揶揄された時代がありました。
近年はこのイメージを払拭すべくブランド価値向上に努めてきましたが、CX-60の初期品質問題に起因する急なリセールバリューの低下は、一部の消費者に過去の悪夢を想起させてしまいました。
リセールバリューを重視するユーザー層からは、敬遠される一因となっています。
3. 万人受けよりも「こだわり」を優先する車づくり
マツダは「2%戦略」を掲げ、市場の大多数ではなく、本当に車を愛する2%の顧客に深く響く車づくりを目指しています。
この哲学は、美しいデザインや「人馬一体」と評される優れたハンドリングを生み出す原動力です。
しかし、その反面、快適性や室内の広さといった実用面が、同クラスのトヨタ車などと比較して割り切られている場合があります。
CX-60の初期モデルで快適性よりもハンドリングを優先したのも、この哲学の現れと言えるでしょう。
この「こだわり」が、ファミリー層など実用性を最優先するユーザー層には受け入れられにくい側面があります。
これらの課題は、CX-60が中古市場で安価になっている背景とも密接に関連しています。
ブランドイメージ、リセールへの懸念、そしてターゲット層を絞った製品特性が、中古車としての需要と価格に影響を与えているのです。
⑥CX-60は高級車ですか?
この問いに対する最も正確な答えは「高級車を目指した、プレミアムな資質を持つ準高級車」です。
CX-60が完全な高級車と言い切れるか、それともそうでないのかは、どの側面に注目するかで評価が分かれます。
高級車と評価できる側面
- プラットフォームとエンジン
エンジンを縦置きにするFR(後輪駆動)ベースのプラットフォームや、滑らかな回転フィールが魅力の直列6気筒エンジンは、BMWやメルセデス・ベンツといった欧州のプレミアムブランドが採用する伝統的な高級車の構成です。この点は、国産SUVの中では傑出した特徴と言えます。 - 内装の素材と質感
上級グレードでは、手触りの良いナッパレザーや本物の木材(リアルウッド)、日本の伝統美を取り入れた織物など、惜しみなく上質な素材が使われています。この内装の質感は、同価格帯のレクサス車に匹敵、あるいは一部では超えているとの評価もあります。
高級車として物足りないと評価される側面
- ブランドイメージ
前述の通り、マツダというブランド自体が、レクサスやメルセデス・ベンツのような確立された「高級ブランド」としての威光を持っていません。車自体の出来が良くても、ブランドのステータス性を重視する層には物足りなく感じられます。 - 初期モデルの洗練性の欠如
高級車体験は、単に良い部品を組み合わせるだけでは生まれません。車両全体の「洗練性」が不可欠です。しかし、初期モデルが露呈した硬い乗り心地やギクシャクした変速フィールは、高級車に求められる滑らかさや快適性とはかけ離れたものでした。 - サービス体験
高級車ブランドは、車両だけでなく、ディーラーでの接客やアフターサービスといった購入後の体験全体で高い満足度を提供します。この点において、マツダはまだ発展途上であり、量販ブランドの枠を出ていないとの指摘もあります。
結論として、CX-60は高級車に求められるハードウェアや素材を備えながらも、それを統合する洗練性(特に初期モデル)と、ブランドエクイティが不足していました。
改良後のモデルでは洗練性が大幅に向上しましたが、ブランドイメージの構築にはまだ時間が必要です。
賢く買うためのCX-60の中古が安い理由
- ①世界での販売台数と市場評価
- ②新車・中古での値引き交渉術
- ③マイナーチェンジ2025でどう変わった?
- ④中古で狙い目のおすすめグレード
- ⑤中古車選びで注意すべきポイント
- ⑥まとめ:CX-60の中古が安い理由
①世界での販売台数と市場評価
CX-60の販売実績は、その評価と同様に複雑な様相を呈しており、国内市場での苦戦と一部海外市場での健闘という対照的な結果が見られます。
国内市場:目標未達とCX-5との競合
マツダはCX-60の国内月間販売目標を2,000台という意欲的な数値に設定しました。
発売前の予約受注は好調で、高い関心を集めましたが、2024年に入ると販売台数は急落。
月平均で目標の3割以下となる約500~600台にまで落ち込みました。
この販売不振は、初期モデルの品質問題が市場に広く知れ渡った時期と一致しています。
この不振の大きな要因の一つが、皮肉にも同じマツダの人気SUV「CX-5」の存在です。
設計は古く価格も安いものの、完成度が高く市場での評価が確立されているCX-5は、CX-60の数倍の台数を販売し続けました。
多くのマツダ顧客にとって、CX-60が持つ後輪駆動や直列6気筒エンジンといった付加価値に対し、数十万円高い価格を支払う動機付けが弱かったのです。
結果として、CX-5による「カニバリゼーション(共食い)」が発生してしまいました。
海外市場:欧州での好評価
一方で、グローバル市場、特に欧州ではCX-60は一定の成功を収めています。
例えばドイツ市場では、2023年にマツダ車の中で3番目に多い販売台数を記録しました。
これは、CX-60の持つプレミアムなコンセプトや、ディーゼルエンジン、そしてFRベースの走行性能が、アウトバーンなど高速走行の機会が多い欧州の環境とユーザーの好みにマッチした結果と考えられます。
このように、CX-60は国内ではその価格とキャラクターが受け入れられにくかった一方で、海外ではその価値が正当に評価されている市場も存在します。
この国内外での評価のギャップも、CX-60という車の多面的な性格を示しています。
②新車・中古での値引き交渉術
CX-60の購入を検討する際、特に中古車市場での価格形成の背景を理解していることは、有利な交渉に繋がります。
ここでは新車と中古車、それぞれの値引き交渉術について解説します。
新車購入時の交渉術
CX-60は国内販売で苦戦している背景があるため、新車購入時には比較的強気の交渉が可能な場合があります。
- 競合車種を引き合いに出す
最も効果的なのは、直接的な競合車であるトヨタ・ハリアーや日産・エクストレイルの見積もりを取得し、「ハリアーなら総額〇〇万円で購入できるが、CX-60の走りにも魅力を感じている」といった形で交渉することです。 - 決算期を狙う
自動車ディーラーは、年度末決算期(1月~3月)や中間決算期(8月~9月)に販売台数を確保しようとするため、値引きのハードルが下がる傾向にあります。このタイミングを狙うのは有効な戦術です。 - リセールバリューを指摘する
「CX-60はリセールバリューに懸念があるため、その分を初期投資で補いたい」と、長期的な総所有コストの観点から値引きを要求するのも論理的な交渉と言えるでしょう。
目標としては、車両本体とディーラーオプションを合わせて20万円から30万円程度の値引きが現実的なラインと考えられます。
中古車購入時の交渉術
中古車の場合、車両価格からの大幅な値引きは難しいことが多いですが、知識を武器に交渉することは可能です。
最も重要なのは、「初期モデルの評判が価格に影響していること」を理解している姿勢を見せることです。
「初期モデルには乗り心地やATの問題があったと聞いていますが、この車両は対策済みですか?」といった質問を投げかけることで、販売店側に「この客は知識がある」と認識させ、丁寧な対応や諸費用面でのサービスを引き出せる可能性があります。
また、保証の延長や納車前の消耗品(タイヤやバッテリーなど)の交換をサービスしてもらうといった、価格以外の部分での交渉も有効です。
CX-60は電子制御も多いため、手厚い保証が付いていることは大きな安心材料になります。
③マイナーチェンジ2025でどう変わった?
CX-60を評価する上で最も重要なのが、初期モデルと改良後モデルが「全く別の車」と言えるほど進化している点です。
その転換点となったのが、2025年モデルイヤー(2024年後半発売)で実施された大規模な商品改良です。
これは単なる小変更ではなく、これまで批判されてきた弱点を根本から見直す大がかりなものでした。
ある自動車ジャーナリストは「初期型オーナーが『このクルマと交換してよ』と怒るほど、劇的によくなっている」と評しており、その変化の大きさがうかがえます。
具体的に何が変わったのか、主要な変更点を下の表にまとめました。
領域 | 改良前モデル(症状) | 改良後モデル(改善内容) |
---|---|---|
乗り心地 | 低速での激しい突き上げと収まらない揺れ。特に後席の不快感が強かった。 | リアサスペンションのハードウェアを刷新。スプリングを柔らかくし、ダンパーを再調整。さらに乗り心地に悪影響を与えていたリアのスタビライザーを廃止。結果、しなやかで快適な乗り心地を実現。 |
トランスミッション | 低速域でのギクシャク感、変速ショック、異音などが頻発。 | 度重なる知見を統合した最新の制御ソフトウェアを適用。クラッチ制御ロジックを最適化し、変速が大幅にスムーズになり、ギクシャク感がほぼ解消された。 |
パワーステアリング | 操作が重く、不自然だとの指摘があった。 | 制御プログラムを最適化し、より軽く自然な操舵感となった。 |
このように、CX-60の根幹的な問題であった「乗り心地」と「変速のスムーズさ」が体系的に解決されました。
この事実こそが、中古車選びで最も重要なポイントとなります。
安価な初期モデルを選ぶか、価格は少し高くても完成度の高い改良後モデルを選ぶかが、CX-60の中古車選びの核心と言えるでしょう。
④中古で狙い目のおすすめグレード
CX-60の中古車を選ぶ際には、どのパワートレインとグレードの組み合わせが自分の使い方に合っているかを考えることが重要です。
それぞれに明確な個性があり、一概にどれが一番良いとは言えません。ここではユーザータイプ別におすすめのグレードを紹介します。
バランスを重視するなら本命:「XD L Package」
最も多くの人におすすめできるのが、3.3Lディーゼルエンジンを搭載した「XD」系のグレード。
特に装備と価格のバランスが良い「L Package」です。
CX-60の象徴である直列6気筒エンジンの、500Nmという強大なトルクが生み出す滑らかで余裕のある加速フィールは、この車ならではの魅力です。
高速巡航では優れた燃費性能を発揮し、燃料が安価な軽油である点も経済的です。
性能、維持費、満足度のバランスが最も取れた本命グレードと言えるでしょう。
運転好きならこの選択:「25S S Package / L Package」
意外かもしれませんが、最も軽快で純粋なハンドリングを楽しめるのは、最も安価な2.5Lガソリンエンジンを搭載した「25S」です。
車両重量が最も軽く、前後重量配分にも優れているため、マツダが目指した「人馬一体」の感覚を最も純粋に味わえます。
パワーはディーゼルに劣りますが、予算を抑えつつ、運転の楽しさを最優先したいと考えるドライバーにとっては最高の選択肢となり得ます。
上質さと洗練性を求めるなら:「XD-HYBRID Exclusive / Premium」
ディーゼルエンジンの力強さはそのままに、可能な限りスムーズで洗練された走行フィールを求めるなら、マイルドハイブリッドを搭載した「XD-HYBRID」がおすすめです。
モーターアシストにより、アイドリングストップからの復帰や発進がより滑らかになり、静粛性も向上します。
特に上質な内装が施された「Exclusive Mode」や最上級の「Premium Sports/Modern」は、予算に余裕があるユーザーの満足度を最大限に高めてくれます。
PHEVモデルは充電環境が必須
2.5Lプラグインハイブリッドの「PHEV」は、システム最高出力327psを誇る最もパワフルなモデルで、EV走行も可能です。
しかし、その性能を最大限に活かすには自宅で充電できる環境が不可欠です。
また、車両重量が最も重いため、ハンドリングの軽快感は他のモデルに劣ります。
充電環境が整っているユーザー向けの選択肢と言えるでしょう。
⑤中古車選びで注意すべきポイント
CX-60の中古車は、情報を持つ者にとっては非常に魅力的な選択肢ですが、購入を成功させるためにはいくつか重要な注意点があります。
以下のポイントを必ず確認し、後悔のない車選びをしてください。
中古CX-60選びの黄金律:3つのチェックリスト
- 改良後のモデルか、対策済みの初期モデルかを見極める
最も重要な鉄則は、乗り心地やATの挙動が抜本的に改善されたモデルを特定することです。理想は2025年モデルイヤー(2024年後半以降の生産車)を狙うこと。それ以前のモデル(特に2022年~2023年式)を検討する場合は、後述するリコールやサービスキャンペーンの対策が全て実施済みであることを絶対条件とすべきです。 - 正規ディーラーでの整備記録を必ず確認する
購入時には、販売店に正規ディーラーでの整備記録簿の開示を強く要求してください。口頭での「対策済みです」という説明だけでなく、記録として残っているかを確認することが重要です。特に以下の項目が実施済みかを確認しましょう。- 主要なリコール(パワートレイン、電動パワステ等)の実施履歴
- 乗り心地改善のためのサスペンション部品(リアショックアブソーバー等)の交換履歴
- トランスミッションの最新ソフトウェアへの更新(リプロ)履歴
- 試乗で最終確認を怠らない
書類上で対策済みであっても、必ずご自身の感覚で試乗して最終確認を行ってください。特に、低速走行時のストップ&ゴーや、荒れた路面、段差を意図的に走行し、変速のスムーズさや乗り心地に不快な点がないかをチェックすることが大切です。後席の乗り心地も確認することをおすすめします。
最も価値ある「狙い目」となり得るのは、市場評価が低かった時期に登録され、その後のリコール等でディーラーで完全に対策が施された2023年後半から2024年初頭のモデルです。
これらは、大きな価格下落と改善された走行性能を両立している可能性があります。
逆に、整備記録が不明瞭な2022年式の初期ロットは、リスクが高いため慎重な検討が必要です。
まとめ:CX-60の中古が安い理由
マツダCX-60の中古車がなぜ安いのか、その理由と賢い選び方について解説してきました。
最後に、この記事の要点をリスト形式でまとめます。
- CX-60の中古が安い最大の理由は初期モデルの完成度が低かったこと
- 発売当初は「未完成」「公開ベータテスト」と酷評された
- 乗り心地の硬さとATのギクシャク感がオーナーをがっかりさせた
- サスペンションとAT制御ソフトの未熟成が主な技術的問題点だった
- パワステや安全装備など多岐にわたる不具合とリコールが頻発した
- これらのネガティブな評判が中古車市場での価格を押し下げている
- マツダブランドのプレミアム化戦略と消費者のイメージに乖離があった
- CX-60は高級車を目指した「準高級車」と評価するのが妥当である
- 国内販売は苦戦したが欧州など海外では評価されている市場もある
- 2025年モデルイヤー(2024年後半発売)で大幅な商品改良を実施
- 改良後は乗り心地や変速フィールが劇的に改善され「別の車」に進化した
- 中古車選びでは「改良後モデル」か「対策済みの初期モデル」かの見極めが最重要
- 正規ディーラーでの整備記録を確認しリコール対応履歴を必ずチェックすること
- おすすめグレードはバランスの「XD」、走りの「25S」、上質さの「XD-HYBRID」
- 知識を持って選べば本来の価値より割安でプレミアムなSUVを手に入れる絶好の機会となる
最後までお読み頂きありがとうございます♪